開催趣旨と概要
強相関電子系の研究は、高温超伝導体の発見以降、遷移金属酸化物を中心としたモット絶縁体近傍に現れる多彩な電子相の研究が行われてきており、特にマンガン酸化物における超巨大磁気抵抗効果やフラストレーション格子におけるスピン液体相などの研究が注目を集め、最近ではマルチフェロイクスと呼ばれる磁性強誘電性やスキルミオン格子と呼ばれるトポロジカル磁気構造体の研究へと発展してきた。また、一方で、磁性体の微細デバイスの研究も、金属多層膜における巨大磁気抵抗効果の発見を契機に「スピントロニクス」分野として発展しており、スピン流と呼ばれる概念のもと理解が進んできた。さらには、トポロジカル絶縁体やマヨラナフェルミオンなど物質中のトポロジーによって現れる創発物性の研究も近年盛んに行われてきた。これらの物理現象の理解はかなり進んでおり、基礎物性物理としては一区切りをつけて次の展開を考える時期が来ている。本研究会では、若手研究者を中心に分野の第一線で活躍する方々を招いて分野の次の展開を議論する。
世話人:野村悠祐、小野瀬佳文
日程:2025年5月31日(土) - 6月1日(日)
会場 : 東北大学金属材料研究所 2号館1階 講堂(アクセス)
形式: 対面 (ただし、オンライン聴講可)
懇親会:NOTTI VAGOにて5月31日(土)19時頃より(会費:一般・4000円、学生・2000円の予定)
招待講演者(敬称略)
井⼝ 敏(東北大)「有機交替磁性候補の磁気光学カー効果「テンソル×スペクトルで何が見えるか?」」
⻑⽥ 礎(東⼤)「ニッケル酸化物の構造制御と超伝導物性」
⾦⼦ ⻯也(阪⼤)「二層ニッケル系超伝導体と光を用いた結晶構造制御」
⽚瀬 貴義(東京科学⼤) 「非平衡相境界を利用した新機能開拓」
片山 司(北大)「強誘電体自立膜の合成とその光アクチュエータ特性」
⾦澤 直也(東⼤) 「ありふれた元素のトポロジカル化学」
菅 ⼤介(阪大)「エピタキシャル薄膜を剥離してつくる二次元物質」
北村 想太(東⼤)「振動外場中における軌道磁性現象」
⼩⼿川 恒(神⼾⼤)「反強磁性由来の巨大な異常ホール効果を示す新規物質がもたらす新展開」
佐藤 駿丞(東北⼤)「TBA」
鈴⽊ 博⼈(東北⼤)「共鳴非弾性X線散乱の円二色性:交替磁性体MnTeへの適用」
⾼橋 陽太郎(東⼤)「準粒子生成を介したテラヘルツ光起電力効果」
播⽊ 敦(⼤阪公⽴⼤)「X線磁気円二色性を用いた強相関交替磁性体の探索」
吉⽥ 紘⾏(北⼤)「カゴメ反強磁性体における磁場中量子状態の探索」
⽶澤 進吾(京⼤)「時間反転及び空間回転対称性の破れに着目した創発物性研究」
渡邉 峻一郎(理研)「有機半導体単結晶の電荷・スピン・フォノン」
プログラム
5月31日(土)13時頃から18時半頃
6月 1日(日) 9時頃から17時頃
決まり次第公表します。